YF23ってどんな戦闘機?

今回はYF23について紹介したいと思います。
YF23は1980年代に開発された第5世代戦闘機です。
F22との開発競争に惜しくも敗れたアメリカの戦闘機で、
試作機である2機のみが開発され、
それぞれグレイゴースト、ブラックウィドウⅡという名前がつけられています。
ステルス性能、スーパークルーズ能力、革命的なデザイン、
高性能エンジン、比較的軽量な機体を
兼ね備えている制空戦闘機です。
そんなYF23をもっと詳しく説明していきます。

YF23に搭載しているミサイルは?

⒈空対空ミサイル   
- AIM-120 AMRAAM: 中距離空対空ミサイルで、敵航空機を遠距離から迎撃可能。
   - AIM-9 サイドワインダー: 短距離空対空ミサイルで、近距離戦闘に適した
赤外線誘導ミサイルです。
⒉ウェポンベイ
   - ステルス性能を維持するため、ミサイルは機体内部のウェポンベイに搭載される設計が予定されていました。
YF-23は、F-22との競争に敗れたため量産されることはありませんでしたが、その設計思想は後のステルス戦闘機に影響を与えています。

YF23の詳細と特徴

ここではYF23の特徴とそれが実現できる理由を説明します。

特徴

1.高いステルス性 滑らかな表面とV字型尾翼(ペリカンテール)により、レーダー反射を抑える設計。
2.スーパークルーズ能力 アフターバーナーなしでの長時間超音速飛行を可能にした効率的なエンジン。
3.高速性と航続距離 マッハ2.2の最高速度と約4,500kmの航続距離。
4.特徴的な機体形状 菱形の主翼とV字尾翼を持つ空気力学的に優れた設計。
5.生存性の向上 排気熱を抑える冷却システムにより、赤外線探知を回避。
6.内部兵器搭載 内部ウェポンベイによりステルス性を維持しつつ、空対空ミサイルを搭載可能。


理由

1つ目の特徴の理由

レーダー反射を抑えるために機体表面が滑らかなデザインとなり、さらにV字型尾翼(ペリカンテール)を採用。この形状は、レーダー波を効果的に分散させる効果があります。また、電波吸収材料(RAM)を一部使用しており、レーダー反射をさらに低減しています。

2つ目の特徴の理由

高性能エンジン(YF119またはYF120)が搭載され、アフターバーナーを使わずに超音速飛行を実現。エンジン設計により燃料効率を高め、持続的な高速飛行が可能となっています。

3つ目の特徴の理由

菱形主翼と流線型機体形状により空気抵抗が最小限に抑えられ、効率的に推進力を活用できます。また、内部燃料タンクを大容量化することで長距離飛行が可能に。

4つ目の特徴の理由

菱形主翼とV字型尾翼のデザインは空力効率を最大化する一方で、ステルス性能の向上にも寄与。この設計は、従来の戦闘機とは異なる革新的なアプローチの結果です。

5つ目の特徴の理由

赤外線探知を回避するために排気熱を抑える冷却技術を採用。排気システムには耐熱素材や冷却デッキを使用し、敵ミサイルからの追尾リスクを軽減。

6つ目の特徴の理由

ステルス性を損なわないように、ミサイルを内部ウェポンベイに搭載する設計が採用されました。これにより外部に兵装を露出せず、レーダー断面積(RCS)を低減するとともに、空気力学効率も向上しています。

YF-23はステルス性や空力性能に特化し、次世代戦闘機として開発されましたが、これらの特徴の実現は非常に高度な航空技術の集約によるものです。
ここからは、YF23の具体的な重さやコストを紹介します。

重さ
-空虚重量 約14,970kg  
-運用時重量 約23,327kg  
-最大離陸重量 約29,029kg  

大きさ
-全長 約20.6メートル  
-全幅(翼幅) 約13.3メートル  
-全高 約4.3メートル  

運用コスト
- YF-23は試作機であり、実際の運用が行われなかったため、具体的な運用コストのデータは公開されていません。ただし、同時期のF-22の運用コストを参考にすると、1時間あたり数万ドル規模と推定されます。

製造コスト
- 試作機として2機が製造されましたが、正確な製造コストは明示されていません。ただし、ステルス技術や高性能エンジンを搭載していることから、1機あたり数千万ドル規模と推定されます。

メンテナンス費用
- 試作機であるため、具体的なメンテナンス費用のデータはありません。ただし、ステルス機特有の素材や複雑な構造を考慮すると、維持費は非常に高額であると予想されます。

YF-23は試作機であり、量産や実戦配備が行われなかったため、コストに関する詳細なデータは限られています。

YF23がF22との開発競争に負けた理由

1. 機動性の差
-F-22の優位性 F-22は空中戦での高い機動性を示し、特に低速での旋回性能や急激な方向転換能力が評価されました。
-YF-23の課題 YF-23はステルス性や高速性能に優れていましたが、機動性ではF-22に劣ると判断されました。

2. ミサイル発射試験の実績
-F-22の成功 F-22は試験中にミサイル発射を成功させ、実戦での信頼性を証明しました。
-YF-23の不足 YF-23はミサイル発射試験を行わなかったため、実戦能力の評価が不十分でした。

3. 開発企業の実績
-ロッキード・マーティンの信頼性 F-22を開発したロッキード・マーティンは、過去の成功例(F-117ナイトホークなど)から、アメリカ空軍に高い信頼を得ていました。
-ノースロップの課題 YF-23を開発したノースロップは、B-2スピリットの開発でコスト超過や遅延が発生しており、信頼性に疑問が持たれていました。

4. コストと生産性
-F-22のコスト効率 F-22は生産性やコスト面でより現実的と評価されました。
-YF-23の課題 YF-23は設計が複雑で、量産時のコストが高くなると予想されました。

5. 空軍の戦略的選択
-F-22の総合力 空軍は、ステルス性や高速性だけでなく、総合的な戦闘能力を重視しました。その結果、F-22がよりバランスの取れた選択肢と見なされました。

これらの要因が重なり、YF-23はF-22との競争に敗れました。しかし、YF-23の革新的な設計は、後の航空機開発に影響を与えています。
では、今回のYF23の紹介は以上です。
ご覧いただきありがとうございました。