B737ってどんな旅客機?
今回はB737について紹介したいと思います。
B737は1960年代にボーイング社によって開発された小型旅客機です。これまでに約12000機ほどが製造されました。設計とサイズ、技術と性能、
運用の柔軟性、バリエーションと普及を兼ね備えている旅客機です。
そんなB737をもっと詳しく紹介していきます。
B737で起きた事故
ライオンエア610便
2018年10月29日、インドネシアのライオンエア610便がジャカルタを離陸後、約13分でジャワ海に墜落し、乗員乗客189名全員が犠牲となりました。
事故原因は、迎角センサーの異常によってMCASシステムが誤作動し、機首が繰り返し下がったことにあります。
パイロットは制御に苦戦しましたが、最終的に機体の回復ができませんでした。
調査の結果、ボーイングの設計上の問題や整備の不備、操縦対応の課題が複合的に関与していたと判明しました。
この事故は、その後の737 MAX機の世界的な運航停止に大きな影響を与えました。
B737の特徴
ここからはB737の特徴とそれが実現できる理由を
紹介します。
特徴
設計とサイズ
• ナローボディ機(単通路):客室は通路を挟んで3席×2列の配置。
• 胴体が地面に近い:整備性が高く、地方空港でも運用しやすい。
• エンジン形状が独特:地面とのクリアランス確保のため、下部が平らなおにぎり型エンジンナセル。
技術と性能
• 双発ジェット機:主翼下に2基のエンジンを搭載。
• 短距離〜中距離路線向け:航続距離はモデルにより異なるが、約3,000〜6,000km。
• 高揚力装置を装備:短い滑走路でも離着陸可能。
運用の柔軟性
• 地方空港対応:エアステア(内蔵タラップ)を装備可能で、搭乗橋がなくても乗降可能。
• 整備性が高い:主脚が胴体に格納される構造で、冷却効果もある。
• 2人乗務が可能:ボーイング機として初めて、操縦士2名で運航できる設計。
バリエーションと普及
• シリーズ展開が豊富:737-100から始まり、クラシック、NG(Next Generation)、MAXシリーズまで進化。
• 世界最多の製造数:2023年時点で11,299機以上が製造され、世界中で運用中。
理由
設計とサイズ
• 胴体幅を抑えた設計により、軽量化と燃費効率を向上。
• 通路1本+6席配置で、短距離〜中距離路線に最適化。
• 地方空港でも運用しやすいサイズ感を意識した設計。
技術と性能
• 低い胴体高により、整備性や乗降の利便性が向上。
• エンジンナセルの下部を平らに設計することで、地面とのクリアランスを確保。
• 小型空港でも対応可能な設計思想。
運用の柔軟性
• エアステア(内蔵タラップ)を装備可能 → 搭乗橋がなくても乗降可能。
• 主脚が胴体に露出する構造 → 自然冷却効果でブレーキ性能を維持。
• 2人乗務設計 → 運航コストの削減と効率化。
バリエーションと普及
• 基本設計の汎用性が高い → 胴体長や航続距離を変えた派生型が多数誕生。
• 整備・運用ノウハウの蓄積 → 世界中の航空会社が導入しやすい。
ここからはB737の具体的な重さやコストを紹介します。
B737-800の基本スペック
• 全長:約39.5メートル
• 全幅:約35.8メートル(ウイングレット含む)
• 全高:約12.5メートル
• 座席数:1クラスで最大189席、2クラス構成で約162席
• 最大離陸重量:約79トン
• 航続距離:約5,665km
• 巡航速度:約840km/h
• エンジン:CFM56-7B型 × 2基
製造コストと運用コスト
• カタログ価格:約6,600万〜7,500万米ドル
• 1フライト(羽田〜福岡)あたりの運航コスト:約96万円 • リース料:約14万円
• 整備費:約13万円
• 燃料費:約37万円
• 着陸料:約14万円
• 人件費:約18万円
メンテナンス費用(目安)
点検種別 実施頻度 費用の目安
Aチェック 約400〜600時間ごと 約25万〜50万円
Bチェック 約6〜8ヶ月ごと 約50万〜100万円
Cチェック 約20〜24ヶ月ごと 約150万〜250万円
Dチェック 約6〜10年ごと 1,000万円以上
B737の派生型
オリジナルシリーズ(エンジンナセルが長い)
-100 前方の窓が13個で、非常口が1つ
-200 前方の窓が15個で、非常口が1つ
クラシックシリーズ(エンジンの下方が平たい)
-300 前方の窓が12:5の17個で、非常口が1つ
-400 前方の窓が11:1:3の15個で、非常口が2つ
-500 前方の窓が10:5の15個で、非常口が1つ
NGシリーズ(普通のエンジン)
-600 前方の窓が8:5の13個で、非常口が1つ
-700 前方の窓が12:5の17個で、非常口が1つ
-700ER 前方の窓が7:4の11個で、非常口が1つ
-800 前方の窓が13:1:3の17個で、非常口が2つ
-900 前方の窓が17:1:3の21個で、非常口が2つ
-900ER 前方の窓の数が9:9:3の21個
MAXシリーズ(エンジンの後方がギザギザ)
MAX7 前方の窓が10:1:3の14個で、ドアが4つ
MAX8 前方の窓が14:1:3の18個で、ドアが4つ
MAX9 前方の窓が20:3の23個で、ドアが5つ
MAX10 前方の窓が22:3の25個で、ドアが5つ
では今回のB737の紹介は以上です。
ご覧いただきありがとうございました。